鍼が痛くない理由②形状と高い製造技術

おはようございます。

武蔵野市の出張鍼灸師・藤澤です。

いきなりですが、「好きなドラマ」ってありますか?

私は「下町ロケット」が好きです!

佃製作所という大田区の中小企業が、技術力を武器に大企業と戦う物語。

TBSとWOWOWでドラマ化されました。

何度も見ても面白い、心が動く作品です。

今日は、そんな「高い製造技術」も関係してくる話です。

少し前に、鍼が痛くない理由についてお話させて頂きました。

術者の「押し手」で切皮痛を抑える、という内容です。

今回は「鍼」そのものから、痛くない理由をお話しますね。

痛さを感じないような形状になっている

実際に鍼施術を受けて頂くと分かるのですが、鍼を身体に刺入しても、ほぼ感覚がありません。

術者が鍼管(鍼を包むプラスチック製の筒)を叩く「トントン」という感覚しか分からない場合がほとんどです。

もちろん例外はありますが、一般の人が思うような激痛はないと言えるでしょう。

秘密は、鍼先の形状です。

現在多く使用されているのは「改良松葉型」という形式で、要は鍼の先端が丸くなっています。

もちろん肉眼では確認できません。

丸いということは、痛くないんだろうなと容易に想像がつきますよね。

注射針とは目的が全く異なる

よく鍼灸の「鍼」と、注射の「針」を混同されます。

どちらも「はり」ですが、目的が全く異なります。

注射の目的は、血液を吸い出すこと。

だから針もぶっとく、中央が空洞になっています。

そりゃチクッとなりますし、苦手意識が芽生えるのも無理はありません。

個人差がありますから一概には言えませんが、注射針とは全く別物だと認識して頂きたいです。

でなければ、美容のために顔面に何十本も鍼を刺せませんよね。

精巧な鍼を生み出す高い製造技術

鍼の形状は進化を続けています。

昔の鍼に比べ、現在の鍼はより痛さを感じない形状になっています。

そんな精巧な鍼を生めるのは、高い製造技術があるからに他なりません。

専門学校の3年時の夏休み、鍼を製造する工場を見学したことがあります。

もちろん一人で行ったんじゃないですよ(笑)

有志何人かで、静岡県浜松市にある「セイリン」という会社の工場に行きました。

製造工程を一から見させて頂き、いかに精巧に造られているかが分かりました。

・いかに患者にとって心地よい鍼にするか
・術者にとって、いかに使いやすい鍼にするか

患者と施術者、それぞれの目線からより良い鍼を製造する。

技術者の「誇り」「プライド」を感じずにはいられません。

もう、私が言いたいことは分かるかもしれませんが…。

「下町ロケット」の世界そのものでした!

まさに、世界に通用する技術ですね。

セイリンさんでは、先述の「改良松葉型」から、さらに先端を丸くした「JSP」という形状を造りました。

これからも鍼の形状はどんどん進化して、より心地よい施術が実現可能になるでしょう。

今回は形状や製造技術から、鍼が痛くない理由をお話しました。

製造技術者の力にも支えられて、鍼治療は成り立っています。

こういった視点から、より多くの方に鍼灸施術への興味を持ってもらえたら嬉しいです!

余談ですが、社会科見学的な行事って面白いですね。

年齢を重ねた今だからこそ、色んな工場見学とか行ってみたくなります。

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